コロナ後にやってくる離職者増加に備える採用力強化アイキャッチ

コロナ後の離職者増加に備えるべき採用力強化

米国で離職率が最高水準に

2021年12月10日に日本経済新聞が米国における離職率が最高水準にあると報じています。

米国で離職者が増えている。8日発表の10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、就業者に占める離職者の割合は2.8%と遡れる2000年以来で過去最高水準が続く。

【日本経済新聞】米、離職率が最高水準 サービスや飲食で深刻 10月2.8%、高賃金の職にシフト

新型コロナ禍で待遇の向上を求める人々が低賃金の飲食業などから離職しており、サービス業や飲食、小売業など労働集約型産業で離職が顕著だといいます。

一方で日本では大学新卒者の離職率がダウンしていると伝えられています。

2018年3月に大学を卒業して就職した者のうち、3年以内の離職率は31.2%で、前年より1.6ポイントダウンだったことが厚生労働省の調査でわかった。就職して3年目、コロナ禍に見舞われた2020年度の離職率のダウンが、3年以内離職率の減少に結びついた。

【旺文社教育情報センター】新規大卒者の離職率が減少!

人々は新型コロナ禍を通じて働き方に関する意識を大きく変化させています。

11月25日に発表された意識調査「コロナ禍による働くうえで重視することの変化とキャリアに関する行動・意向」では次のような結果となっていました。

コロナ禍で「働くうえで重視することが変化した」ビジネスパーソンは67.1%。

コロナ禍において重視するようになったことは、「リモートワークの可否」が最多。

【株式会社ラーニングエージェンシー】ビジネスパーソン5,995人のキャリアや学びに関する意識調査

日経の記事も米国で起きている大離職の理由のひとつとして「労働者が仕事のあり方を見直していること」をあげています。

労働について世界的な意識変化が生じていると考えられ日本国内でも早晩、離職の増加が目立つようになる可能性があります。

企業側が抱える問題点

離職増につながりかねない要素は、実は既に数字にも表れています。まず企業側が抱える問題について見てみましょう。

10月に実施された調査ではリモートワークが人事評価上の問題を発生させているという結果でした。

リモートワークを実施している企業のうち、47%が人事評価における問題が新たに発生、または既存の問題が拡大したと回答しました。

新たに発生した人事評価の問題は「コミュニケーション状況やモチベーションなどの把握・評価」

【株式会社ビズリーチ】リモートワーク実施企業の47%で「人事評価の問題が発生、または拡大」

11月の調査でもコロナ禍でメンバーとの協働が難しくなったとの結果となっています。

大企業の役職者2人に1人が、コロナ以降のメンバーとの協業について「難しくなった」と回答。中堅・中小企業の役職者の33.0%に比べ19.0ポイント高く、大企業の方が難しさを感じている傾向

【株式会社チームスピリット】プロジェクトワーカーに関する実態調査

リモートワークによる新しい勤務様式に企業側の制度や意識が追いついていないことが問題点であると言えます。

従業員側の転職意識

一方、こうした状況を受けて従業員側も転職への意欲を高めている現状が調査結果にも表れています。

まず採用が難しいITやエンジニア関連では10月の調査でITエンジニアの約3分の1が転職活動を実施しているというデータが出ています。

全体の約3分の1のエンジニアがキャリアアップを視野入れて転職活動を実施

【レバテックキャリア】転職事情調査

情報システム部門に所属する会社員を対象にした調査では4割が転職を検討中で、そのうちおよそ3分の2がすでに転職活動を実施しているという結果。

約4割が転職を考えていて、そのうち65.5%がすでに転職活動をおこなっていることが分かりました。

【株式会社メタップス】「情シス」の転職に関する実態調査

プロジェクトマネージャーを対象にしたアンケートでもこんな結果となっています。

半数以上のプロジェクトマネージャーが転職を希望。理由は「給料と条件が見合っていない」

【株式会社アジャイルウェア】プロジェクトマネージャーの転職に関する調査

ITやエンジニアだけではありません。

9月に行われた営業職の勤務意識に関するアンケート調査では、営業職の約7割が「最近退職を検討した」と回答。

最近退職を検討したと回答したのは69.6%

営業職として働き続ける場合の懸念や不安の第1位は給料が安い、第2位は将来が不安

【日本労働調査組合】営業職の勤務意識に関するアンケート

企業に求められる採用力の強化

労働に対する意識変化がもたらす離職者の増加に備え、企業は採用力を高めておく必要があるのは間違いないでしょう。

もちろん、働き方の多様化を受けて副業やフリーランスを活用するという選択肢も最近では有力になりつつあります。

9月の調査では「他社や個人事業主としての仕事が本業の労働者を受け入れているか」という質問に対し、上場企業の半数近くが「すでに受け入れている」「受け入れていないが、検討している(もしくは検討したい)」と回答しています。

【アデコ株式会社】管理職を対象にした、副業・複業に関する調査

また10月に実施された企業のフリーランス活用実態調査ではフリーランスの仕事に「とても満足」「満足」が63.8%と高く、今後の活用についても「今後より一層利用したい」「これまで通り依頼したい」が77.5%を占めています。

【株式会社Lbose】企業のフリーランス活用実態調査

採用代行サービス(RPO)の利用も検討すべきと言えます。

新卒学生向けの調査では社外のスタッフによる面接の代行について95.4%もの学生が「非常に良い」「よい」と回答しているのです。

調査を実施した株式会社アールナインはその理由について次のように分析しています。

理由1:客観性な視点から企業を理解することができる

理由2:ありのままの自分で本音を話せる

理由3:就活やキャリアについての相談ができる

【株式会社アールナイン】採用代行サービスに関する本音を調査

副業やフリーランスの活用はターゲット人材の幅を広げるという点で人材確保に役立ちます。

RPOの利用はコストをかけて自社の採用力を強化することができるというメリットがあります。

さらに即効性の高いダイレクトソーシングを採用手法として取り入れている企業も多いことでしょう。

求人メディアへの掲載を含めこれらは比較的短時間で母集団を形成する効果をもたらしますが、一方で有力な採用手法として認知されつつある採用広報は性格が異なります。

社内協力体制の醸成や採用広報コンテンツの積み上げ、ファン層の獲得には多くの時間と工数が求められるためです。

米国の状況と来たるべき国内の離職増加を念頭に置き、企業は採用力強化の準備を進めておくべきなのです。

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