MVVと採用広報

採用広報とミッション・ビジョン・バリューの重要性

採用広報・採用ブランディングコンサルティングのカキモトリクオフィスです。今回は採用広報とも関わりが深い、ミッション・ビジョン・バリューの重要性について、数字をご紹介しながら説明します。

ミッション・ビジョン・バリューとは?

企業や組織は自社がどのような方向を目指しているのか、社会においてどのような役割を果たしていくのか、そのためにどのような価値観が重要であるのかなど、存在意義を示す必要があります。

企業や組織は多くのスタッフに支えられています。目標や理念を明らかにして彼らの向かう先を明示し共通認識としておく必要があるためです。

また、企業や組織は社会の一員であり、ステークホルダーである株主や顧客、取引先に対しても自社の使命を明らかにしておくのが大切です。もちろん、これから仲間になってくれる求職者に対するメッセージとしても有効に機能します。

ミッション・ビジョン・バリュー以外の似たキーワードとして企業理念や経営理念、行動方針、クレド、フィロソフィーなどの言葉を用いる場合もありますが、定義は厳密ではありません。ここではミッション・ビジョン・バリューについて説明します。

ミッション:企業や組織の存在価値・果たすべき使命を表します。
ビジョン :ミッションを達成するために企業や組織にとっての「あるべき姿」を表します。
バリュー :ミッション・ビジョンを達成するための判断・行動における基準を表します。

ミッション・ビジョン・バリューを重視する求職者が増加している

求職者は企業のミッション・ビジョン・バリューをどのように捉えているのでしょうか。2022年12月に、Wantedlyが学生対象のミッション・ビジョン・バリューに関する調査結果を発表しています。

それによると、学生が就職先に重視するポイントは70%が「共感できるパーパスを持っている会社で働くこと」となっており、「自己成長性」の69%や「給与水準」52%を上回り最も高くなっています。

調査では23年新卒から26年新卒まで学年別の結果も発表しており、「共感できるパーパスを持っている会社で働くこと」は23年新卒の71%、24年新卒の69%、25年新卒の65%に対して、26年新卒は86%。最も下の学年である26年新卒が際立って高い点が注目されます。

とは言え、Wantedlyは「共感採用」を謳っており、ミッション・ビジョン・バリューやパーパスとの親和性が高いのが特徴です。そこで、他社の調査結果も参考にしてみます。

株式会社学情が2021年12月に、23年新卒を対象とした「企業のビジョン・パーパスに関するアンケート」を実施していました。結果は「就職活動において、「ビジョン」や「パーパス」を重視する学生が8割に迫る」となっています。

また社会人を対象にした調査は2022年8月に株式会社パーソル総合研究所が実施していました。社会人が転職先の検討にあたり重視する要素として、「会社のビジョンやパーパスに共感できる」は65.7%と、大半がミッション・ビジョン・バリューに注目しているのがわかります。

さらに、調査では「社会人全体」とそのうちの「優秀人材」の差異にも着目しています。優秀人材のうち、「会社のビジョンやパーパスに共感できる」は72.7%となっており、社会人全体より高くなっているのです。

学生だけでなく、優秀な人材を確保するためにも、ミッション・ビジョン・バリューは欠かせなくなっています。学生・社会人を問わず、ミッション・ビジョン・バリューを重視する人材が増加している現状を認識しましょう。

参考:ウォンテッドリー、就職活動とインターンシップに関する調査結果を発表
参考:「企業のビジョン・パーパス(存在意義)」に関するアンケート
参考:人的資本情報開示に関する調査結果を発表

ミッション・ビジョン・バリューを策定している企業の割合は?

では、ミッション・ビジョン・バリューを策定している企業はどの程度の割合なのでしょうか。

2021年12月に、中小企業経営者を対象にした調査が実施されていました。それによると、中小企業のうちミッション・ビジョン・バリューを策定しているのはわずか28.6%と少数に留まっています。

また、すでにミッション・ビジョン・バリューを策定していると回答した企業のうち、社員に浸透させるための取り組みを行っているのは50%であり、10%は「何もしていない」36.7%が「自社サイト/採用サイトに反映しているのみ」と答えており、形骸化しているケースも少なくないようです。

もちろん、調査対象が中小企業であるため、大企業に限ればミッション・ビジョン・バリューの策定率は跳ね上がるでしょう。若年層の意識変化などを背景に企業理念や行動指針などへの関心も高まっていることから、中小企業における策定率も現在は上昇しているでしょう。

それでも、まだまだ「策定しているのがあたりまえ」という状況には至っていないようです。実際に、当社でもミッション・ビジョン・バリューを作っていない企業から相談を受けたケースがあります。

参考:中小企業経営者105名対象、「MVV作成」に関する実態調査実施

ミッション・ビジョン・バリューは採用広報にも重要です

ミッション・ビジョン・バリューは採用広報にも重要な役割を果たします。これらを策定することによって、会社がなぜ存在するのか、目的を社員のみならずステークホルダーとも共有できます。

また、自社がどこを目指しているのか方向性を示し将来像を明確にする役割も無視できません。

関東地方で店舗展開しているある企業は、ミッション・ビジョン・バリューを策定していませんでした。右肩上がりで業績が拡大していたため、経営陣が必要性を認識していなかったためです。

しかし、新たにジョインした社員の中には、「うちの会社は全国展開するの?それとも関東にとどまるの?」「商品ジャンルは増やすの?それとも現状維持なの?」など、将来の方向性が見えないことに不安を感じていたといいます。ミッション・ビジョン・バリューを定めれば、こうした不安は解消されることでしょう。

さらに、社内の一体感を醸成できるという効果もあります。これらの役割は、採用広報を展開するうえでは欠かすことができません。

カキモトリクオフィスでは採用広報コンテンツを「ABCDE」にカテゴライズしています。「Associates(人に関するコンテンツ)」「Business(事業に関するコンテンツ)」「Career(キャリアに関するコンテンツ)」「Destination(企業のゴールに関するコンテンツ」「Environment(職場環境に関するコンテンツ」です。

ミッション・ビジョン・バリューやパーパス、それに社会貢献といったジャンルのコンテンツは「Destination(企業のゴールに関するコンテンツ)」として独立させており、顧客にも意識していただいています。

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